始末書にはどんなことが記載してあればよいでしょうか?


始末書に、こんな反省文を書きなさいといった指示はできません。

ですが、自主的に任せるあまり、内容が薄すぎるものですと、後々問題に発展したときに会社を守る証拠とするために提出させたはずなのに、何の意味もなさないケースもよくあります。

一番悪い例としては、日付と氏名、二度と起こさないようにします、といった内容だけのものです。  

これではどんな問題に対して改善指導をしたのか、全くわかりません。
何度も同じ過ちを繰り返す社員に始末書を提出させながら改善命令を出し、それでも改善されないようであれば解雇も検討することになりますが、そのときにはどんな過ちやそれに対する改善指導が繰り返されていたのか、といった事実がわかるようにしておかなければなりません。  

基本的には、『5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのようにして)』を意識して記載してもらうことが重要になりますので、もし提出された書類にそれらが欠けているようであれば、会社を守るためにも再提出させてください。     

Point 始末書の提出を求めること自体に違法性はなくても、度が過ぎた強要行為は民法上に
   おける不法行為として違法の判断を受けることがありますので、言動や行動には十分
   注意してください。

始末書の提出を拒否する社員を処分することは可能ですか?


ご質問の始末書ですが、どのような記載内容を求めているのかによって考え方が異なります。
 
始末書といっても、単に事の顛末(事実)を報告するだけの「顛末書」のような内容であるならば、社員には業務に関する報告義務がありますので、業務命令として提出させることが可能です。よって、それを拒否した場合には業務命令違反として懲戒処分を行うこともできます。
 
一方、謝罪や反省文なども含めた一般的な「始末書」そのものの内容であるならば、その提出を強制することは難しいと考えるべきです。(謝罪・反省等は社員の自由な意思で書くもので、その意思を尊重すべきとする判例あり)また、始末書の提出は就業規則等に記載があり、会社に懲戒権があることが前提となります。懲戒処分(譴責処分)によって始末書を提出させることを、まず1回目の処分ととらえ、始末書提出拒否による処分は同様の事案による2回目の処分と指摘しているケースもあります。(二重処罰の禁止
 
ですから、まずは処分はせずに“顛末書”に起きた事象の内容をまとめさせたうえで改善案を記載させ、業務の改善を図りましょう。
業務改善命令を出しても改善がされない場合には、その業務命令違反として処罰を行えばよいと考えます。

Point 根本的な問題として、例えば「社長に挨拶をしなかった」とか、「電話の対応が悪い」
   
など、軽微な内容による始末書提出の強要は、懲戒権の濫用と判断される恐れがあり
   ますので、新たな問題を発生させないように、対応は慎重になさった方がよいでしょう。

懲戒処分を決定するまで自宅待機させる場合には、無給でよいでしょうか?


懲戒処分を決定するまでに自宅待機させることは、社内文書等の証拠隠滅を防ぐなどの理由から、当然の対処ではありますが、無給ではいけません
 
懲戒処分を検討している段階では、「社員が悪いことをしたから待機させざるを得ないために、当然給与は払う必要がないだろう、自業自得だ」と勘違いされている経営者様が多いのですが、これは間違いです。
 
自宅待機命令を出して無給とする行為は、『出勤停止』という懲戒処分に該当するものと考えられてしまうからです。
もし自宅待機命令を出したときに無給としてしまうと、それが1度目の処分ととらえられてしまい、悪事を暴いたあとに何の処分もすることができなくなってしまうのです。(1案件に対する二重処罰の禁止)
これでは本末転倒です。
 
「そんな悪い奴に、しかも働いてもいないのになんで給与を払わなきゃいけないんだ」というお気持ちは痛いほどよくわかります。私もそんな社員には支払いたくもありません。
ですが、懲戒処分が無効と判断されないためには必要な経費であるということをご理解ください。

Point 社員には自宅待機命令に反して「就労させてくれ」と言える権利(就労請求権)はない
   のと考えられていますので、懲戒処分までの前段階として下す自宅待機命令は、必要性
   がない場合など一部を除き、原則として有効と考えられています。    



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